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ポーラ美術館「部屋のみる夢―ボナールからティルマンス、現代の作家まで」 2023年1月28日(土)〜7月2日(日)

ポーラ美術館で、7月2日(日)までの期間に開催される「部屋のみる夢―ボナールからティルマンス、現代の作家まで」。
今回はその開催概要についてお伝えします。

 

ポーラ美術館「部屋のみる夢―ボナールからティルマンス、現代の作家まで」 2023年1月28日(土)〜7月2日(日)

ヴォルフガング・ティルマンス《静物、ボーン・エステート》2002年、インクジェットプリント、クリップ、138.0×206.0cm、ポーラ美術館
©︎Wolfgang Tillmans, Courtesy Wako Works of Art

 

パンデミック以降、私たちの生活様式は大きく変化しました。
移動が制限された状況で誰もが多くの時間を過ごしたのが、「部屋」という空間です。
安心をもたらす室内での生活は、外の世界からの隔絶がゆえに閉塞感と隣り合わせのものでした。
他方、閉じられた空間で紡がれた親しい人たちやかけがえのないものとの関係は、日常を生き抜くためではなく、変化の乏しい生活に彩りを添えるのに、欠かせないものであったと言えるでしょう。
本展覧会では、19世紀から現代に至るまでの、部屋にまつわる表現に特徴のある作家を取り上げ、この小さな世界のなかで織りなされる親密な記憶や夢想のありようを、あらためて見つめ直します。
個性にあふれた作家たちによる多彩な室内の表現は、ステイホームの経験を通じて静かに変容した私たちの心のなかで、新たな像を結び始めるでしょう。

 

みどころ

1. 19世紀から現代まで、あらためて見つめ直す「部屋」をめぐる表現

19世紀から現代までの約50点の作品を通じて、部屋にまつわる表現をご紹介します。
古くから、閉じられた室内で起こる出来事や、窓から差し込む光などは芸術家たちの着想源となり、部屋はさまざまな作品に描かれてきました。
近代化以降、社会的な地位や個人の趣味を反映した部屋の表現は、とりわけ絵画の重要なテーマとなり、数多くの室内画が制作されました。
コロナ禍でのステイホームを経て、部屋という空間への意識や日常における位置付けが変容しつつある今日の私たちの視点で、現代の息吹を伝えるアーティストたちが手掛ける作品とともに、部屋をめぐる多様な表現をあらためて見つめ直します。

 

2. 草間彌生、ヴォルフガング・ティルマンスの新収蔵作品を初公開

現代を代表する作家である草間彌生、そしてヴォルフガング・ティルマンスの新収蔵作品を初公開いたします。
草間はこれまでにベッドをモティーフとした作品を2点制作しており、新収蔵作品はそのうちの1点にあたる貴重な作例です。
本来であれば心身を休める役割を持つベッドが、無数の突起物に覆われ変容しています。
また、写真の新たな表現を開拓し続けるティルマンスの作品を新たに収蔵しました。
フィルムで撮影された過去の作品から、デジタル撮影を経た近年の作品に至るまでの10点には、彼が日常生活を送るとともに制作に明け暮れる時間を過ごした室内が捉えられています。

 

3. ステイホーム以降の新たな感性を伝える、現代作家たちの作品を展示

髙田安規子・政子は、身近な事物や風景を用いて、スケールや時間の感覚を揺るがす緻密なインスタレーションを手がけるアーティストです。
本展では、室内と屋外をつなぐ窓や扉を取り上げ、ステイホーム以降更新されてきたパブリックとプライベートの境界のあり方を問いかけます。
昨年に初めて二人展を開催した佐藤翠と守山友一朗は、様式を異にしながらも、これまでにいずれも室内の表現に重きを置いてきました。
コロナ禍の閉塞感により、庭をはじめとする自然への渇望を促されたふたりは、新作のなかで閉じられた部屋と開かれた自然との関係を再考します。

 

会期中は無休です。
なお、開催状況につきましては、公式サイトでご確認ください。

ポーラ美術館 公式サイト
https://www.polamuseum.or.jp/



   


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