アートブログ
2023.6.9 [アーティスト紹介]
小塩 瀏蒼《扉》
アートブログでは、Live Art Japanでアート作品を販売するアーティストを取り上げ、インタビューした内容をお届けします。
どのように作品を手がけているのか、アートに対する考え方など、制作にまつわるさまざまな情報を知ることで、作品の魅力もより深く理解できるのではないでしょうか。
第15回は小塩 瀏蒼さんに選んでいただいた、ご自身の代表作品についてのインタビューをお届けします。
──Live Art Japanにて登録している作品から、読者に知ってほしいものを1点選んでください。
《扉》
https://live-art.jp/rk08/
──選んだ作品について、どのような思い入れがありますか?
若い頃、前衛書という書の分野を知り衝撃を受けました。
その衝撃が冷めぬ内に若さに任せて書いた作品です。
私の若い頃の代表作の内の一つです。
──その作品の制作にあたって、どのようなアイデアが元になっているのでしょうか?
若い頃は書道会に殴り込むぐらいの情熱と自信で書道に打ち込んでいました。
書道の専科の大学を出ていない私にとって書道会でのし上がるには自分で道を切り開いて行くしかないのだと考えていました。
この《扉》という作品は自分の進む道を切り開く第一歩の《扉》と考えていました。
──その作品が生まれた時期や制作過程について教えてください。
この当時私は綺麗な文字が優れた作品だと考えていました。
また文字を書くことが書道だとも考えていました。
そんな中この前衛書という書のカテゴリに出会いました。
当時師事していた先生から文字を書くのだが文字を書いてはいけないとよくアドバイスをいただきました。
自分の中に題材となる文字を取り込み、自分の中でそれを再構築し、作品として表現したものがこの作品です。
──その作品が作られた当時の社会情勢や文化的な背景について、どのような影響を受けましたか?
特に受けていません。
作品は常に自分の感覚、心情によって制作しています。
要は自分の書きたい作品、手法になります。
──その作品のテーマや意図について、どのようなメッセージを伝えたいと思っていたのでしょうか?
未来を切り開くための「扉」を、「扉」という文字の中にある正反対の意味の「非」という文字で、逆境の中、自分で道を開いていく様を表現しました。
文字の中心に見える線と線との間の余白がその先にある未来であると。
──その作品が、あなたの作品の中で特別な意味を持っていると思いますか?
この作品を機に、書のカテゴリにこだわった作品制作をやめました。
これは書の世界で一人の師匠に師事し、活動することにとって大きな障害となりました。
次第に書道会内での活動、作品制作への興味は薄れていきました。
逆に自分で自由に作品を制作し、発表したいという気持ちは大きくなっていきました。
また何か根拠のない自信も半端なくありました。
私の今の書のスタイルの原点と言える作品です。
──その作品を見る人に、何を感じてほしいと思っていますか?
私は制作側と見ていただく側と、必ずしも同じ感覚を持たなくてもよいと考えています。
見ていただく方が自由に感じていただければよいと考えています。
──その作品が、今後のアーティストの作品制作にどのような影響を与えましたか?
わかりません。
ただ私の開催している学生教室の生徒には、綺麗な文字が書けることはたいへん重要なことだけれど、書にはいろいろなスタイルがあり、多くジャンルの書にふれてほしいと話しています。
──その作品を制作していた当時の気持ちや想い出について、教えてください。
この当時はとにかく書きまくっていました。
伝統的な書から現代的な書まで。
「臨書」と言われる書の勉強も毎日欠かさずに、ただただ書くことが楽しかったですね・・・。
ただ、組織の中で活動することにモヤモヤを感じながら。
いろいろなことが制限されますので。
やはり自分は自分の書きたいものを書き発表していく、今のスタイルが合っているのだと、当時のことを思い出すと実感しますね。
小塩 瀏蒼さんは、2023年6月にポーランドで開催われる展示会「INTERACTION,相互作用」に出展されます。
今後も小塩 瀏蒼さんのご活躍にご注目ください。
執筆:Live Art Japan編集部