アートブログ
2022.11.9 [展覧会情報]
今回はその展示概要についてお伝えします。
愛媛県出身の杉浦非水(すぎうら ひすい、1876-1965)は日本におけるモダンデザインの先駆者です。
東京美術学校日本画科に学び、洋画家・黒田清輝がフランスから持ち帰ったアール・ヌーヴォーの図案に魅せられて、その道を志しました。
明治41年(1908)に三越呉服店に職を得ると、27年間にわたり同店のポスターやPR誌表紙などのデザインを一手に担いました。
その間、三越のみならず、広告やパッケージのデザイン、多くの本の装丁などを手がけ活躍しました。
明快で洗練された非水のデザインは今日もなお私たちを引き付けてやみません。
本展では、非水の故郷・松山にある愛媛県美術館の全面的な協力を得て、ポスター、図案集、装丁といった代表的仕事に加え、彼の創作の原点となるスケッチや、写真、遺愛の品々など300点あまりを紹介し、その全貌に迫ります。
(1) 日本のデザイン黎明期を代表する画家・杉浦非水、静岡県内初の回顧展
明治30年代、日本に洋風図案を手がける人がほとんどいなかった時代に杉浦非水は図案家を志しました。
装丁や三越の仕事で活躍する一方、図案の研究団体を結成したり、昭和4年創立の帝国美術学校の工芸科図案科長に就任し後進を育成したりと、図案界の発展に尽力しました。
日本のデザインの黎明期の歴史そのものともいえる非水の作品がまとまって紹介される静岡県内初の機会です。
(2) 代表作からスケッチまで、非水の全てを網羅
ポスターや図案集、書籍や雑誌の装丁といった代表作から、創作の原点となるスケッチや収集品や写真といった、非水の美意識をうかがい知ることのできる資料まで、300点以上のボリュームで全貌を紹介します。
(3) レトロでモダンな非水デザインの魅力
「一般の人々が望んでいる所の華やかな美しいもので新しい、生命のある図案の作られる必要がある*」と考えていた杉浦非水の図案は、洗練された明快さで今日もなお私たちを魅了します。
モダンでありながら、どこか懐かしさも感じさせる非水の図案をお楽しみください。
*杉浦非水「図案に就ての雑感」『美術旬報』第151号、大正7年2月(旧字、旧仮名遣いは新字、新仮名遣いに改めました)
なお、静岡市美術館は毎週月曜日(祝日は開館し翌平日休館)、年末年始は12月28日(水)〜1月4日(水)が休館となっております。
会期中の開催状況につきましては、公式ウェブサイトでご確認ください。
静岡市美術館 公式ウェブサイト
https://shizubi.jp/